コロナ禍のランニングマスク

ランニングを街中でしていると何だか煙たがれるようなことがありますよね。ランニング中でマスクをしている人の割合の方が最近では多いのではないでしょうか。さて、このマスク。二つの疑問に応えていきます。1. コロナ 対策として意味があるのか 2. トレーニングとして意味はあるのか。

1.ランニングマスクはコロナ 対策になるのか 

誰に対して質問するかにもよりますが健常者向けに感染防止を訴えかける意味ではショートアンサーはNOでしょう。

4月6日付で公表された指針は、感染者が医療用マスクを着用することで、他人に飛沫(ひまつ)感染させるのを防ぐことは各種研究で示されていると説明。一方、健常者が家庭内などでマスクを着用することで一定の予防効果があることを示す「限られた証拠」はあるものの、地域全体での着用で「新型ウイルスを含む呼吸器系の感染症を予防できる証拠はない」と結論付けている。その上で、政策決定時には「感染者用なのか、それとも健常者用なのか」目的を明確にすることを提言した。また、医療用マスクは医療従事者に優先的に配分されるべきだとも訴えた。


https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040800953&g=int

このように自分が感染していた場合、人に移すリスクは減らすことができます。ランナーのマスクは自分を守るためというよりも他人を守るため。公衆エチケットとして考えるべきでしょう。

ちなみにランニングの際は飛沫が10メートル以上飛ぶと言われています。だから前を歩いている人との感覚は10メートル以上開けた方がいいのですね。マスクをしていても繊維を通り抜ける唾液はどうにも防ぎようがないです。まずソーシャルディスタンスを第一に、身の回りの人に安心感を与えるためにもマスクはつけて走りましょうということになるのではないでしょうか。

2. ランニングマスクはトレーニングパフォーマンスを高めるか

マスクをしている方が酸素摂取に負荷をかけることでパフォーマンスを高めることができるのではないかと考えることもあるでしょう。しかし、実際にはそんなことはありません。マスクをつけて練習しても長距離は早くなりません

アメリカのパーソナルトレーナー兼トレーニングプログラムディレクターのライマン氏は『布製マスク、バフ、またはバンダナを着用している場合、ランナーが呼吸している空気の酸素濃度を変更するのではなく、単により少ない量の空気で呼吸します。肺に入る空気は、いつもと同じ酸素濃度です。』と説明します。

https://hashirou.com/article/page/effects-of-wearing-a-mask-on-runners

ライマン氏は少ない酸素の量で普段の運動をすると肺にそれだけの負担が増えるので横隔膜を鍛えることになるとは言っています。いわゆる呼吸筋を鍛えることはできますが、呼吸筋をたくさん鍛えることがパフォーマンス向上につながるかは疑問です。そもそもエンデュランス スポーツ は究極の有酸素運動。どれだけ酸素を効率的に使えるかが重要です。トレーニングではLT値でのスピード練習や、VO2MaXを意識した高強度練習は意味がありますが、これはマスクをつけた状態では期待できる効果を得ることができません。なぜなら最大のスピードを出すのに必要な量の酸素をマスクがあるせいで摂取できないからです。十分な酸素を取り込むことができないので、走スピードは落ちます。酸素摂取能力の閾値を超える不可にならないので、ミトコンドリアの生成を促進することも難しいでしょう。酸素摂取を目的とした心肺機能の強化としてはマスクトレーニングは意味がないのです。

では低強度の練習ではどうなのか。普段よりもゆっくりのペースで苦しくないスピードで走るのであれば問題ないでしょう。マスクがあると酸素の摂取量が落ちます。その状態で普通のトレーニングと同様に走ることはできません。酸素が足りないので。スピードを遅くしたとしても、低強度練習の目的である長く継続的に動き続けることで毛細血管を増やすことはできるはずです。

ではだらだらと長く走っているこことだけすれば良いのかというと、そんなこともないと思います。先にも述べたように、持久力強化のための高強度トレーニングは意味がないですが、筋力強化のための高強度トレーニングなら意味があります。心肺機能の負担を減らして筋肉に負荷がかかるトレーニングを取り入れる。腿上げなどは特に良いメニューです。

マスク着用時のトレーニングメニュー

こちらの図は縦軸が強度、横軸がトレーニング目的を表しています。要約すると、マスク着用時の高強度の持久力強化のためのトレーニングは意味がない(効果が薄い)ということです。頑張った割にはあんまり成果が出ていないということになってしまいます。筋力強化をするためには高負荷が必要なので、左下のトレーニングは存在しません。高強度練習をする場合は筋力強化、提供度練習をする場合は持久力強化を目的にすると良いでしょう。

やみくもにトレーニングしても強くはなりません。辛いだけです。辛くて無駄なことは誰もやりたくありません。常になぜこのトレーニングが必要なのか、どんな効果が期待できるのかを意識します。筋トレと一緒ですね。自分は胸筋を鍛えているのか、三角筋を鍛えているのか。意識次第で効果はかなり変わってきます。日々のトレーニングメニューはこんな時期だからこそ最適なメニューを考え続けること。他の記事でもこの時期におすすめのトレーニングメニューをご紹介していきます。

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